お知らせ:7年目は司会者を参加者で分担してみます


【おとえもじて主催者よりお知らせ】

「7年目は司会者を参加者で分担してみます」

2017年8月からおかげさまで活動7年目に突入します。
6年目最後の振り返りの回(運営ミーティング)をふまえ、
7年目からは「司会者マニュアル」を作成し、
参加者が司会を分担することに挑戦してみます。

何回か参加して様子がわかってきた参加者が
1年に1回程度、担当するペースで分担できればと
考えています。

なお、「司会者」と「ファシリテーター」は別になります。
「テーマ研究」と「かけこみ当事者研究」のファシリテーターは
今のところ、これまで通り主催者が行う予定です。

詳細は以下にまとめましたので
もしよろしければご覧下さい。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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【おとえもじて当事者研究会:司会者マニュアルを作ったいきさつ】

2017年8月7日 綾屋紗月

2001年に北海道にある「浦河べてるの家(以下、べてるの家)」で当事者研究が誕生してから16年になります。当事者研究には、いわゆる決まった手順はなく、テーマ設定も研究方法も基本的に自由であり(べてるしあわせ研究所、2009)、その堅苦しくない気軽な雰囲気も魅力となって、日本全国だけでなく海外にも広まっています。

しかしその一方で「べてるの家」をはじめ、それぞれのグループで試行錯誤しながら進められてきた当事者研究には、長年大切に積み重ねてきた理念や実績があることもまた事実です。それらを土台として行われる具体的な形式や進行方法の事例を記録・分析し、多様な在り方や、共通する要素を後世に伝えていくことも、眼前に差し迫った課題だと考えられます。

そのような問題意識を、長年さまざまな領域で当事者研究を実践してきたメンバー同士で共有した結果、2015年6月から2016年4月にかけて全14回に渡り、互いの当事者研究のスタイルを体験しあい、その後、意見交換を行う「当事者研究のやり方研究会」が実施されました。

当事者研究においては、その理念、歴史的経緯、研究成果などがまずは重要であると綾屋は考えていますが、2017年8月に刊行された『みんなの当事者研究』(金剛出版)に掲載された「当事者研究をはじめよう!―当事者研究のやり方研究」(綾屋、2017)では、それらの記述を先行研究にゆだね、当事者研究がどのように行われているか、その形式や方法になるべく絞って報告しました。具体的にはまず、10年以上の当事者研究歴がある「べてるの家」と「ダルク女性ハウス」の形式について概観し、次に両者の共通点を見出し、最後にこれら2つの団体を手本にした「おとえもじて」の実践の試行錯誤について述べることを試みました。

発達障害の場合、まだ当事者による語りの積み重ねが乏しく、「おとえもじて」においても、継承するよりも生み出す作業が中心となってきたと感じています。しかしこのたび、「おとえもじて」が7年目を迎えるにあたり、そろそろこれまで蓄積してきた「おとえもじて」の仲間の知恵、および当事者研究の理念や方法をまとめ、次の世代の仲間に伝えていくことを検討していかねばならないのではないかと、「当事者研究をはじめよう!」を執筆する中で考えさせられました。

ちょうどその原稿を書き終えた頃に行われた、「おとえもじて」の一年間の振り返り運営ミーティング(2017年7月3日開催:第134回)では、6年目(2016年8月-2017年7月)の1年間、主催者が一人で運営を行っていた現状に対し、「司会の負担が大き過ぎるのではないか」「簡単なことでシェアできたら」「つぶれないか心配」「参加者に任せて会を守っていくのも大事」という参加者からの声が聞かれました。それによって「伝えること」だけでなく、「ゆだねること」という、もう1つの課題も突きつけられることになりました。

そのような経緯で、「これはもう、司会者マニュアルを作るしかない」と実感し、今回、マニュアル作成を試みました。不具合が生じたら修正していくという構えで、引き続き仲間と共にわかちあいを続けていかれれば嬉しいです。

以上